キジのケン - 出会いと別れの物語

20年前のこと・・・
 
ご主人様はまだよく外で遊ぶ事の大好きな子供でした。
その中でもご主人様が特にお気に入りだったのは、家の外れにある大きな野原でした。
ある夏の日、ご主人様が遊んでいたその野原は草刈りによってあたりの草が無くなっていました。
そこでご主人様はある物を目にします。 
 
なんとメスのキジがじっと卵を暖めていたのです。
そのそばではオスのキジがご主人様をキッと睨み付けていました。
ご主人様は睨み付けるオスキジに負けて離れていきます。
しかしその時、メスキジの卵を狙っての事でしょう、空から数羽のカラスが現れました。
オスキジは近づくカラスを懸命に振り払おうとしています。
しかしオスキジ一羽に対し、相手のカラスは数多く、とてもかなうはずがありません。
ご主人様は勇気を振り絞って木の棒を握り締め、カラスに向けてブンブン振り回します。
カラスは一羽、また一羽と空のほうへ上がっていきます。
 
「よかった・・・」

ご主人様はホーッと一息つきます。
その時、後ろのほうでギャッ!と悲鳴に似た声が上がりました。
ご主人様が後ろを向くと、フラフラと逃げるネコと小石を数個握っている青年がいました。

「さすがの勇者さんも、背中に目はねぇようだな」

そう言うと青年は去っていきました。
ご主人様は青年に勇気付けられ、オスキジと共にメスキジの胞卵を見守り続けたのです。

あれから3週間後・・・
メスキジは無事に卵をかえし、子育てのために別の地域へ移動していました。
それでもご主人様はあのオスキジに会うために、たびたび野原を訪れていました。
キジもご主人様だけは縄張りから追い出そうとはしません。
ご主人様はキジを「ケン」と呼び、よくケンと話をしたりして遊んでいました。


P.E.T.S & Shippo Index - オリジナルキャラ創作