Legend of Quel

第一部(P.E.T.S.12人編) 第13話

街中のとある場所をグランチェイサーが走っていた。

G3‐XX「う~む、あのベレー帽の女、一体俺に何の用じゃ...」

数日前、あゆみがRynexを通してG3を呼び出していたのだ。そして、今がその約束の時間である。
目的地に着いた時、そこにあゆみの姿があった。

G3‐XX「おう、来たぞ。言っておくが、金は持ってないからな。」
あゆみ「どうも、この間は助けていただいてありがとうございました。
    突然お呼びだてして申し訳ありません。実は、1つお願いがあります。」
G3‐XX「お願い?」
あゆみ「はい。大変申し上げにくいのですが...」

あゆみはかなり言いづらそうに話を切り出した。

あゆみ「私、思うのですが、最近変な怪物たちが現れるようになったのは、ちょうど
     あなたがこの辺りにやってきた頃ですよね。」
G3‐XX「......たしかに、そうだな。」

G3の方も、あゆみの言わんとする事が何となく読めているようだ。

G3‐XX「俺に、この町から出て行って欲しい、と言いたいのだろう?」
あゆみ「!!!......はい。」

言おうとした事を読まれて驚きながらも、あゆみは話を続けた。

あゆみ「あなたが今まで何度も私達を助けてくれた事は存じております。ですが、
    これ以上戦いに巻き込まれては、ご主人様や他の守護天使たちまで危険に
    さらされてしまいます。助けてもらってこんな事を申すのは実にずうずうしいと
     思いますが、私は守護天使。ご主人様や仲間の事を考えると、やはり....」
G3‐XX「ああ、いいぜ。」
あゆみ「えっ...!?」

あゆみにしてみれば、G3が何かしら反論してくるものと思っていたが、
G3があまりにもあっさり了承したので拍子抜けしていた。
そして、そのままグランチェイサーにまたがるG3。

G3‐XX「この先、これっきり会わずに済めば、それが一番いいのかもな。」
あゆみ「.........」
G3‐XX「じゃあな。ご主人様を大事にしてやれよ。」

ブロロロロ......
バイクで走り去るG3の後姿を見送るあゆみ。

あゆみ「...これで...これでよかったのですよね...これで......」

そう自分に言い聞かせて、罪悪感を拭い去ろうとした...

 

G3が去った頃、守護天使達の家では、チビっこトリオがG3の話をしていた。

るる「え~、なな姉たん、じーすぃーたんに会ったおぅ?」
もも「本当なの、ななちゃん?」
なな「そうだよ!ななね、G3さんとお友達になっちゃったんだよ!」
るる「なな姉たん、いいなぁ~。るるも、じーすぃーたんとお友達になりたいぉ~」
もも「...ちょっと恐そうだけど、会ってみたい...」

と、そこへ、外から帰ってきたあゆみが通りかかる。思いつめたような表情で...

なな「あっ、あゆみ姉ちゃん。おかえり。」
るる「おかえり~」
もも「あゆみお姉ちゃん、どうしたの?何かあったの?」
あゆみ「...いえ、何でもありませんわ。大丈夫ですよ。」
るる「ねぇねぇ、あゆみ姉たん、るるも、じーすぃーたんに会えるかなぁ?」
なな「ななは、もうお友達になっちゃったもんね。エヘヘッ♪」
もも「G3さんって、一体どんな人なの?」

そんな3人の言葉を聞いてますます表情を暗くするあゆみ。そして、ようやく口を開いた。

あゆみ「......あなた達、あの青い人の事はもう忘れなさい...」

思いがけない言葉に戸惑う3人。

るる「えっ...?どうちて?るるも、じーすぃーたんとお友達になりたいおぅ。」
なな「G3さんって、すっごく強くて、とってもかっこいいんだよ!

あゆみ姉ちゃんも、会って話してみればきっとわかるよ!」

もも「...あゆみお姉ちゃん、まだG3さんの事疑ってるの?」

3人の言葉が聞こえているかどうか定かではないが、あゆみはしばらくの沈黙の後、不意に背を向けて、

あゆみ「とにかく、もうあの人の話はしない事!いいですね!」

そう言い放つと、力ない足取りで家の中へ入っていった。

るる「今日のあゆみ姉たん、変らお~」
なな「ふーんだ、何よ。ななの事が羨ましいからってあんな事言っちゃってさ。」
もも「でも、何か元気なかったよね、あゆみお姉ちゃん。どうしたのかな...?」

 

一方、街から遠ざかって走る特殊機動装甲車Gストライカーの中では...

Rynex「あゆみさんが、G3様にそんな事を...」
G3‐XX「ま、当然考えられる事態だな。こうなるって事は、お前も予測してたんだろ
      う?」
Rynex「ええ、もちろんです。G3様、あゆみさんを許してあげて下さいね。」
G3‐XX「あのベレー帽の女も、守護天使として全員の事を案じているのだろう。
      そのくらいわからんとでも思うか。ところで、この間会った時に思ったんだけ
      ど、あの女、なんかるるに似てねえか?
      帽子かぶってるし、体型もそっくりだし、るるのデカバージョンって感じで
      ちょっとイイかも(・∀・)☆」
Rynex「ハ...ハハ...G3様らしいお答えですね(^^;。とは言ったものの...」

あゆみに目をつけ始めているG3に苦笑しつつも話題を変えるRynex。

Rynex「復讐鬼の狙いはあくまでも人間と守護天使。特に最近は、守護天使に狙いを
     絞っているようですが、G3様、本当に街から出て行くのですか?」
G3‐XX「もしかしたら俺の存在が復讐鬼どもに知れ渡っているかもしれん。そうなれ
      ば俺を狙ってくる奴が増える可能性もある。そういった連中を少しでも引き
      つける事ができればと思ってな。それに、今のところ1件もないが、この先
      あいつら以外にも襲われる奴がいないとも限らん。」
Rynex「しかし、守護天使の皆さんに何かあったら...一応、監視カメラを搭載した
     リモコン式の小型スパイメカを向かわせてはいますが...」

そのスパイメカは、Rynexがいつも情報収集に使う監視メカである。

G3‐XX「グランチェイサーで思いっきりかっ飛ばして行くさ。空を行けばソッコーで着く
      だろ。それに、万が一の時はGR‐07だってあるしな。」
Rynex「それもそうですね。それに、何かあったときにG3様が近くにいたら、また
     あゆみさんに疑われてしまいますしね。」
G3‐XX「あそっか。そりゃ気づかんかったな。」

妙な所で抜けているG3であった。


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