夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.9「夢で逢えたらデラックス」

翌日の晩。
四人は寝静まり、起きているのは光彦だけであった。

(一体何が原因なのか…。心当たりは探ったけど…。)

光彦が思案に暮れているその時、外の方から物音が聞こえてきた。

(なんだ一体?)

不審に思った光彦はドアにそっと近づき、耳を澄ました。すると、こんな声が聞こえてきた。

饗介「今日はどんなのにしようかなー。よし、火あぶりにするか。」

(これはどういうことだ?)

光彦が思考が混乱していた。
やがて、外から、力をこめる声が聞こえてきた。するとすぐに奥のほうから寝言が聞こえてきた。

ひとみ「熱い…。」
あすか「ううっ…。」
まゆり「ご主人様…。」
みゆう「助けて…。」

(今回の事件はこいつの仕業か!)

そう思った光彦は、奥からほうきを取ってきて、臨戦態勢を固めることにした。
一方外では、饗介がこんなことを考えていた。

(うーん、やっぱり女の子の泣き顔は最高だねぇー。ひとみちゃんはいつも明るいし、あすかちゃんはいつもクール、みゆうちゃんはいつも笑ってるからそのギャップがたまらない!でもやっぱりまゆりちゃん。あの子の泣き顔が一番!)(注、透視しています。)

とその時、ドアを開けて光彦が出てきた。

光彦「こら!何をしている!」
饗介「げ、お前は光彦!」
光彦「なんで僕の名前を知っているんだよ!」
饗介「知らざあ言って聞かせましょう。十八年前、まゆりを殺したのはこの俺様だ!」

それを聞いて、光彦は仰天した。

光彦「何だと!それじゃあ今回もみんなの命を…。」
饗介「安心しろ。もう殺しには興味はない。だがあの子達の泣き顔を見るのは
   俺の最高の楽しみでねえ。やめて欲しければかかってきな。」
光彦「言われなくとも!」

そう言って、光彦はほうきで飛びかかった。だが、何か見えない力に弾き飛ばされてしまった。

光彦「うわっ!こ、これは…。」
饗介「超能力…俺独自の技だ。これで一通りの事はできる。次は何をしようか…そうだな、もう二度と邪魔されないように今日のことを忘れてもらおうか。」
光彦「よ、よせ!」

饗介は光彦の前に手をかざした。その瞬間、何かを威圧するような声が聞こえた。

女性「待ちなさい!」

見ると、饗介の後ろに警官風の女性が立っていた。

饗介「お前はD.F.の!」
女性「あなたを逮捕します!」

そう言って、女性は饗介に手錠をかけた。

女性「ご協力、感謝します。」
光彦「いやあー、助かりました。」
女性「それにしてもよく気付きましたね。普通、人間は呪詛悪魔には気付かないのですよ。」
光彦「呪詛悪魔?そんなのがいるんですか?」
女性「まあ、あなたのような方ばかりだと呪詛悪魔などと言うものは存在し得ないのですが…。」
光彦「そ、そうですか。」
女性「では、私はこれで。さあ、来なさい。」

そう言って、女性と饗介は消えた。

(あれは一体…。)

光彦は呆然と立ち尽くしていた。


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