夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.36「結成!夢追い虫ウォリアーズ」

かつみ「あら、久しぶりじゃない?」
ひとみ「みんなも元気そうで何よりですが…そのチビっこい子は誰ですか?」

D.F.3人娘かと思いきや、小柄でタマネギを思わせるショートカットの娘が新たに加わっていたのである。

あや「ああ、この子はこの前わたしたちの仲間になったなたね。」
なたね「初めまして。ボクなたねって言います。皆さんのことは、かつみさんたちから聞いています。」
ともみ「この子この前すごかったんですよ。凶悪犯にも恐れず立ち向かったからなあー。大した
     ものだ、うん。」

とこのような自己紹介もそこそこに、カルテットの4人は本題に入った。

まゆり「実は、この前饗介を捕まえたときに着ていた服なんですが、あれは着替えるものなの
     ですか?それとも変身したりとかするのですか?」
かつみ「ああ、あれね。変身して着る物よ。」

かつみが案外あっさりと答えたので、カルテットは拍子抜けした。

ひとみ「本当ですか?」
ともみ「本当。」

カルテットの目が俄然輝きを増した。

みゆう「あ、それ見たい!」
あや「でもこれあまり見せたくないんだよね…。恥ずかしいし…。」
あすか「そんなこと…言わないで…。」
ひとみ「お願いします!」

カルテットの真剣な様子に、あやもつい心が動いた。

あや「分かったよ…。では僭越ながら、このアリジゴクのあや、戦闘服に変身させていただきます!」
かつみ「いよっ!千両役者!」
あや「うるさいね…。また食べてほしいの?」(第24話(公開停止)を踏まえている)
かつみ「……………。」(顔を真っ赤にしてうつむいている)
あや「…冗談よ。本気にしないで。では…。」

あやはポケットからバッジのようなものを取り出し、上にかざした。

あや「メイドファイターあや、エンターズ!」

あやが気合いの入った掛け声を発すると、その場が一旦光に包まれる。すぐに光が抑え目になり、その中から一糸まとわぬ姿のあやが姿を現す。光の中であやの柔肌が踊る。そして、だんだんと服があやの身体へとまとわりついていき、最後にメイドさんがつけているような頭の飾りがつくと、変身完了。あやはバシッとポーズを決めた。

あや「どう?」
あすか「はあ…。」
ひとみ「カッコいいです…。それでいて色っぽくて…。」
まゆり「憧れますわ…。」

カルテットの4人はあやの変身シーンにうっとりしていた。とここで、みゆうが少し調子に乗ったリクエストを出した。

みゆう「ねえ、ほかの人たちの変身も見てみたいなー。」

みゆうのリクエストに、かつみ、ともみ、なたねの3人は顔を赤くした。

かつみ「え?」
ともみ「それは…ちょっと…。」
なたね「ボク…恥ずかしいよ…。」

恥ずかしがる3人に、あやが軽く脅しをかけた。

あや「わたしだけ裸を見せるのは納得がいかないなあー。みんなの変身、見たいなあ…。」
かつみ「わ、分かったわよ…。」

と言うわけで、残りの3人も変身シーンを披露した。変身の過程は、服のパーツのまとわりつく順番があやも含めた4人で微妙に違っていたものの、裸の身体に服が徐々にまとわりつくという点では一緒であった。

みゆう「すごいすごいすごーい!」
なたね「そう?何か照れちゃうよ…。」
あや「でもこれけっこう時間かかるんだよねー。上級の隊員はすぐに変身できるみたいだし。」
ともみ「そもそも戦闘服って、特殊で防護服としての性能を高く作り出さなければならないから、
     いっぺんに変身できないわけだ。徐々に形作らなければいけないのね。」
かつみ「それに、このタイプの戦闘服を着ないで戦う人もけっこう多いし。」
ひとみ「それでもすごいですよ。」

と、ひとしきりほめた後、カルテットの4人はお願いモードに入った。

ひとみ「あの…頼みがあるのですが…。」
あや「ん…何?」
ひとみ「あたしたちにもその変身を教えていただけませんか?」
あや「え、何で?」
ひとみ「あたしたち、これをご主人様を守るための武器にしたいんです。」
まゆり「それに、饗介を撃退することもできるかもしれませんわ。」
みゆう「それにカッコいいし…色っぽいし…。」
あすか「お願い…します…。」

カルテットの一生懸命な様子に、D.F.4人娘もつい心が動いた。そして…

あや「分かったわ。教えてあげる。でも簡単には覚えられないから、覚悟しておくように。」
まゆり&あすか&みゆう&ひとみ「ありがとう!」

こうして、カルテットの4人の特訓が始まった。
この訓練は、光彦には心配をかけられないという理由で、昼間や深夜に「めいどの世界」へ出向いて訓練する、という方式であった。これはかなりの負担ではあった。しかし、憧れの変身能力取得を目指す4人はそんなことは気にしなかった。

あや「じゃああなたたちにはこのD.F.のバッジ(見習い隊員のもの)を渡すわ。これが変身用の
    アイテムにもなるわけ。」
ひとみ「へえ、きれいですね、これ。」
かつみ「でも気をつけて。このバッジ、変身し終わったら戦闘服の胸の部分についているんだけど、
     これは絶対に攻撃されたり、壊されたりしないようにして。」
みゆう「どうして?」
かつみ「バッジが服のエネルギー源だから、壊されると変身が解けちゃうのよ。」
まゆり「なるほど…気をつけますわ。」(ちょっと神経質そうな様子)

バッジを受け取ったら、いよいよ実践である。
はじめのうちは大変であった。変身が上手くコントロールできず、途中で終わってしまったり(変身しかけのハイレグレオタード状の中途半端なメイド服だけだったり、手袋だけだったり、ブーツだけだったりの状態で止まった。それはそれで萌えるのかもしれないが。)、変身完了したと思ったらエネルギーを閉じ込められなくてすぐに変身が解けてしまったりした。
しかし、特訓の末、ついに4人は完全なる変身能力を身につけた。

まゆり「やりましたわ!」
あや「おめでとう。じゃあわたしたちからごほうびをあげる。」

そう言って、あやは4人に武器(4人それぞれ違うもの)を渡した。

あや「これ、初心者用の武器で威力は低いけどかなり使いやすいはずよ。服と一緒にバッジに閉じ
    込められるから、使いたいときにすぐ使えるわ。」
まゆり&あすか&みゆう&ひとみ「あ、ありがとうございます!」
あや「それでは、以上で特訓を終わります!」


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