Happy Angle Paradise!

第10話「一杯のラーメン」

ほい、バトンタッチ。
おおっと!久々にこの新館夷智朗に出番が来ましたね!

ましろと亮の対峙から1日後、閉店した店には、日夜研究を続ける亮がいた。

麺の生地のこね方・材料の割合・麺の太さ・・・

チャーシューに最適な豚の箇所・タレ・焼き加減・・・

ある日、ましろは散歩がてら、功龍の近くまで来ていた。

ましろ(ちゃんと・・・やっているでしょうか・・・?)

その時、ましろの近くで2人の青年の声が聞こえてきた・・・

青年1「さーて、今日はどこ行くよ?」
青年2「ゲーセン行こーぜ、亮も誘ってよ」
青年1「あー、ムダムダ。あいつ、最近ずっと店に篭ってるからよ」
青年2「まさか、マジであんなボロ家継ぐ気じゃねーだろうなぁ・・・」
青年1「ま、いいか。行こうぜー」

その言葉を聞いたましろは、安心してその場を立ち去った。

約束の1か月間近、亮は最後のスープで頭を抱えていた。
材料・茹で時間などなど・・・全てうまくいってるハズなのだが・・・

亮「足りねぇ・・・さっぱりは完璧だが、力になる物が何か足りねぇ・・・」

亮は何度も龍雄のスープを飲み、舌先で味を確かめる・・・
その時、ふと亮の味覚に、ある物が思い浮かんだ。

亮「もしかして・・・」

亮が目を向けた先にあるものは・・・完成していたチャーシューだった。
考えてみれば、このチャーシューのタレのベースは醤油・・・
それに、このこってりとした味・・・
これなら力のある味を生み出せるかもしれない!
澄んだスープの味を殺さぬよう、亮は慎重にタレを加えてゆく・・・
そして、そのスープを飲んでみた。

亮「・・・・・ビーンゴ」

その出来に、亮は思わずニヤッと笑っていた。

 

 

そして、約束の日が訪れた。
店の中には龍雄・亮・そして真吾と守護天使達が集まっていた。
龍雄が玄関に「臨時休業」の看板を立てる。

龍雄「これで、邪魔者は入ってこねぇ」

中では先程から、亮とましろが互いに睨み合っていた。

ましろ「・・・その様子だと・・・随分・・・研究なさった・・・ようですね」
亮「ったりめーだ!今度こそキサマの鼻をあかしてやるからな!」

真吾が2人の間に入り、確認を取り始めた。

真吾「ルールは単純明快。お互いにこれだという自信ありの一杯を作り、代表でオレが試食する。最終的に判定が上がった方の勝ちや」
ましろ「はい・・・」
亮「おうよ!」

互いにルールを合意し、真吾はすうっと息を吸う。

真吾「では・・・調理開始や!」

真吾の声と同時に、二人とも迅速な行動を見せた。
まず2つの大鍋からはそれぞれのスープがグツグツと煮えている。
亮はあらかじめ寝かしていた中太麺を取り出し、ましろは細麺を取り出した。

セティ「あら?麺から違ってきたわね・・・」
フリード「何をする気なんだ・・・ましろのヤツ」

そして、ましろはある物体を出してきた。

セティ「あ、あれ・・・」
セティが目を丸くする。
真吾「何や?」

真吾が問いかけた。

セティ「この間ましろに頼まれて、ひとっ飛び仕入れてきた岩塩よ」
真吾「仕入れたって・・・どこまで行ってきたんや?」
セティ「モンゴル」
真吾「ハァ!?」

今度は逆に真吾の目が丸くなった。

かすみ「モンゴル岩塩は塩の味に角が無く、丸みのあるすっきりとした塩スープになるそうです。私も聞いた事があります」
りな「なるほどねー・・・」
ちえこ「何か・・・すごい事になってきたかも〜」


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