死の先に在るモノ設定資料集

≪特務機関フェンリルの組織設定≫

>組織概要

隊員の総数は、全体で7〜800人程度となっている。但しこれは戦闘要員のみの人数で、非戦闘員である事務官は全て天界裁判所からの出向者で占められている。また、これとは別に、技術部門(設備の整備や装備品の開発等を担当)が存在する。

組織としては、ピラミッド型とツリー型の両方の組織が存在するという二重構造となっており、その双方を直接「司令」が指揮を執る。
全ての権限が司令に集中する一極集中型で、「副指令」のようなNo2は存在しない。

なお、「特務機関フェンリル」の正式名称は「天界裁判所第二調査部」であり、「特務機関司令」の正式な階級呼称は「天界裁判所第二調査部分室・室長」となっている。
無論、それらは書類上の名称であり、公的な場所・場面以外では、ほとんどと言って良い程使用されていない事は言うまでも無い。

>ピラミッド型

総隊員数における人員の割合は、この部署が最も多く、所属する隊員は「オフィサー(offices)」と呼ばれている。(「offices」は「officer」の複数形)

頂点に司令(1)が存在。

その下に、ほぼ同格の「No3」である支部長クラス(2)が存在する。席次こそあるものの基本的には同格であり、世界各地の地域毎に置かれた支部を統括する責任者でもある。支部は、北米・南米・極東・豪州・中東・アフリカ・欧州の全七ヶ所。支部長が戦闘に出撃する事は極めて稀。

支部長の下に大隊長クラス(3)が存在する。この大隊長クラスも現場や前線に出るより、後方でデスクワークをする事が多い中間管理職である。

大隊長クラスの下に、現場の責任者(下士官に相当)である小隊長クラス(4)、そして兵卒クラス(5)の隊員が配置されている。

人間界の組織に例えるなら「秘密警察と諜報部」双方の性格を併せ持ったような官僚組織であり、主に、情報収集・調査・偵察・特定の守護天使の監視……等等、守護天使(主に特務機関隊員)が人間界で活動する為の環境を整える任務に就いてる。無論、必要とあれば、護衛や警備・戦闘任務等にも就く。

頂点から順に示すと下図のようになっており、階級の上下は厳密に決められている。
1、司令(4級以上の神格者)
2、支部長(5級以上の神格者)
3、大隊長クラス(5〜7級の神格者)
4、小隊長クラス(7〜10級の神格者・1級守護天使)
5、兵卒(1級以下の守護天使)

>ツリー型

人数的には少ないが、こちらが特務機関の主役である。
この組織に所属する「ランサー(Lancers)」と呼ばれる隊員達を補佐する為にのみ、大勢いる「オフィサー(offices)」達と、後述する「シビリアン(Civilians)」達は存在する、と言っても過言ではない。

トップには司令(1)がいて、隊員達を直接統括する。
その下のNo2と支部長に相当するNo3は存在しない。一足飛びで、オフィサーの大隊長クラスとほぼ同格の隊長・参謀クラス(3)となる。オフィサーの大隊長クラスとの違いは、必要とあれば積極的に現場や前線に出動する所・大隊長クラスとは比較にならない程大きな権限を有している所にある。それが「単独行動者」という異名を取る所以である。勿論、単独行動を取らない場合も多いが。

そのすぐ下に「ランサー(Lancers)」と呼ばれる隊員(4)がいる。彼らこそ実戦部隊の主役であり、言うなれば、下士官・将校のみで構成された特殊任務部隊である。
隊長・参謀クラスは、便宜的にランサーのチームを幾つか抱えている。だが、書類上は隊長・参謀クラスもランサーも司令と直接結びついた、言うなれば司令直属の実行部隊である。

ランサー達はチームで行動し、一つのチームの人数は2〜6人程度、また、能力も一芸に秀でたタイプが多く、幾つかの任務に特化された少数精鋭型が多い。その為、多くのチームの直接戦闘力はオフィサー達やD.F.と大差無いが、チーム「SILEN」等、強大な戦闘力を保有するチームも存在する。

ランサーのチームは特務機関の性格上、「偵察・追跡」「捕獲・消去」「隔離(デッドエンジェルや呪詛悪魔を閉じ込める為に結界を張る)・改竄(人間界での守護天使の活動の痕跡を消す)」といった任務に特化されたチームが多い。
先に挙げた「SILEN」も消去任務に特化されたチームであるが、高い能力を持つがゆえに、追跡や捕獲といった任務にも狩り出される事がある。
但し、幾つかの任務を任されるチームは少数派であり、全てを手広く扱っているチームは、さらに極少数派となっている。

独立任務部隊としての性格の他に、原則として任地を離れられない「ピラミッド型」組織に対し、増援として派遣される事もある。そのように派遣されたランサー達のリーダー(参謀・隊長クラス)には、支部長に準ずる権限が与えらる。(他のランサー達には小隊長クラスの権限が与えられる)
人間界に似たような例を求めるのであれば、アメリカの州警察とFBIのような関係だろうか? そこまで階級が厳密ではないが。

こちらの「ツリー型組織」は「独立任務部隊」という性格が強い組織である。階級は、オフィサー達程厳密ではない。
1、司令(4級以上の神格者)
3、隊長・参謀「別名:単独行動者」(7級以上の神格者)
4、ランサー(7〜10級の神格者・1〜2級守護天使)

なお、通常「ランサー(Lancers)」と呼ばれる者達は、チームを組んでいる(4)の隊員を指す事がほとんどであるが、ツリー型組織である「独立任務部隊」に所属する隊員は、司令を除き全員がランサーである。
つまり(3)の隊長・参謀クラスの「単独行動者」も「ランサー」である。

>事務官・技官

事務官・技官は、すべて「ピラミッド型組織」に分類されている。
事務官(文官)は、ほぼ全員が天界裁判所所属。その為、多くの事務官は自分のしている仕事の正体を把握していない。
責任者である事務局長だけは、自分の職場が特務機関である事を知っているが、強度な守秘義務が課せられている為、それを口外する事はできない。

裁判所所属の事務官の仕事は、資料を書類の形にするだけであり、彼らが製作したそれらの書類を取りまとめて報告書の形にするのは、特務機関隊員達の仕事となっている。その為、書類の取りまとめをする際には、オフィサーだけでなく、任務の無いランサー達も狩り出される。
「任務に就いている時は敵と、任務が無い時は書類の山と、隊員達は常に戦闘状態にある」という笑えない冗談が、特務機関の閉鎖性と秘密主義をよく表している。任務の性格上、仕方の無い事ではあるが。

技官は、オフィサーの大隊長クラスに相当する技官長と、2〜8人くらいの技官達とでチームを組む。それらのチームは幾つか存在し、主に装備品の開発や改良・様々な研究といった仕事に携わっている。
技官には、守護天使ではない者も幾人か居るらしいが、人数・種族等の詳細は不明。

事務官・技官等の非戦闘員は、「シビリアン(Civilians)」と呼ばれ、戦闘員とは区別されている。

こちらの事務官僚は特務機関の性格上、戦闘部隊に比して階級は低めとなっている。(3)の事務局長の人数は一人。技官長の人数は複数。
3、事務局長(7〜10級の神格者・事務官の総責任者)/技官長
4、主任クラス(1級守護天使)/技官
5、事務員(2級以下の守護天使)

 

以上の組織設定を図にしたものが以下である。

フェンリル組織図

>昇進

特務機関に入隊すると、まず新兵訓練施設に送られる。そこで諜報部員としての基礎的な訓練と適正の検査を受ける。訓練と検査の結果、判明した適正と本人の希望を踏まえ、配属部署が決定される。

本人の希望は一応聞かれるが、その希望が叶う可能性は低い。

例えば、主役である戦闘部隊(ランサー)への配属を希望した場合、その希望が叶うのは、戦士として高い適正と素質を認められた者のみである。その限られた者達のみが、最初から「ランサー」としての、高度な戦闘訓練を受ける資格を得る事ができる。(ただ、ランサーになる為の訓練は非常に厳しく、訓練生の半数以上の脱落者を出す事も稀ではない。その為、ランサーの総人数・定員は不定である)

それ以外の大多数の新兵は、まずオフィサーとして配属される。
オフィサーからランサーに転属を望む場合、試験がある場合が多い。試験は、ペーパーテストと実技となっているが、今までの勤務態度・成績・上役からの推薦等の評価を考慮され、実技は免除される場合もある。

一方、上層部からの任命だけでランサーに昇進する場合もある。その場合、能力・適正が十分な場合がほとんどなので、試験が無い場合が多い。ただ、これはやや例外的な状況になる。
さらに異例中の異例として、一般の守護天使から試験無しで直接ランサーに任命される場合もあるようだ。
逆に、ランサーを引退してオフィサーに戻ったり、事務官・技官等の非戦闘員になる場合もある。

>総括

以上を踏まえ、特務機関の組織の特徴を総括すると、良く言えば「臨機応変で柔軟」、悪く言えば「指揮系統や規則が曖昧」といった評価になるだろうか?
その指揮系統の曖昧さが、組織の秘密主義・閉鎖性と相まって、他の機関からの厳しい視線に晒されている。特にD.F.からは制度上の欠陥の指摘と共に、特務機関及び隊員達が司令の私物と化す危険性についての懸念が表明されている。
それを含めた幾つもの疑惑が存在する事、また、組織の秘密主義を疑問視する声が、公式・非公式を問わず常に投げ掛けられ、司令及び特務機関上層部の姿勢が批判されている。

しかし、対する特務機関側の公式回答は、あらゆる疑念・疑惑に関して「返答の必要を認めない」という身も蓋も無い物であり、疑念が払拭されたとは言えない状態にある。



死の先に在るモノトップへ戻る


Otogi Story Index - シリーズ小説 - 死の先に在るモノ