Legend of Quel

第一部(P.E.T.S.12人編) 第9話

ワーバイン事件が終わった後。Gストライカーでは...

G3‐XX「で、ワーバインの調査結果って結局なんだったわけ?」

Rynex「はい。実は、基本的に復讐鬼とは怨念のみによって生み出される存在なの
     で、本来改心という概念は持ち合わせていないはずなんです。」

G3‐XX「するってえと、あのワーバインは例外だったと?」

Rynex「そうです。通常は、動物達の怨念がその動物から独立し、それがさらに殺意
     にまで発展します。そうなると、恨みや憎しみを超越して人間や守護天使を
     殺すこと自体に喜びを見出す存在となります。それを一応復讐鬼と呼んでいる
     わけですが、実際には殺人鬼と言った方が実情にあっているかもしれません」

G3‐XX「なあるほど。要するにタチの悪い生霊みたいなもんだな。つーか、復讐鬼と
      言う割には全然復讐してないわけね。で、ワーバインはちょっと違ったと。」

Rynex「はい。彼の場合、人間に対する恨みだけでなく、女の子にもてたいという別の
     強い欲望がありました。そのため怨念に徹しきれず、かろうじてそれらしい
     人格を保つ事ができ、復讐鬼としての力もやや中途半端でした。」

G3‐XX「ふうん。ようわからんけど、ま、いいんじゃない。」

Rynex「それにしても、いくら他の欲望を持っていたからといっても、こんな事はまずあ
     りえません。シュモクザメだった頃はよっぽどメス好きだったんでしょうね(^^;
     あ、そうそう、私、これから用事があるのでちょっと出かけてきますね。」

G3‐XX「用事って、何の?」

Rynex「挨拶回りです。とりあえずメガミ様の所へ行ってきます。」

G3‐XX「ふうん。ま、せいぜい渋い茶でもすすって来いや。」

 

めいどの世界にやってきたRynex。性別の決まっていないRynexは、
めいどの世界としつじの世界のどちらにも出入りできるのだ。今、メガミ様と向かい合っていた。

Rynex「それでは、ワーバインの事、よろしくお願いします。」
メガミ様「わかりました。表向きには、復讐鬼ワーバインはG3‐XXによって倒された
      という事にしておきます。復讐鬼が改心するなどという事は本来ありえません
      から。」
Rynex「ありがとうございます。何でしたら、GX‐05改3式の強化型特殊徹甲弾360
     連発を喰らって冥府の世界へ強制送還、という事にでもしておいて下さい。」
メガミ様「いいでしょう。ちょうどあの日はワーバインの誕生日だったのですが、
     それが『祝砲』という事にでもなるのでしょうか。」

ちょっと意地悪っぽい笑みを浮かべるメガミ様。

Rynex「フフフフ、メガミ様も結構おっしゃいますね。それでは、私はまだ行く所があり
     ますので、この辺で失礼させていただきます。」
メガミ様「そうですか。彼に伝えて下さい。守護天使達をよろしくと。」
Rynex「はい。大丈夫ですよ、あの方ならきっと皆さんを守ってくれます。
     それでは〜♪」

 

次いで、守護天使達の住む家では...

Rynex「はじめまして。Rynex(ライネックス)と申します。仮面ライダーG3‐XXにお仕
     えする使い魔です。以後、お見知りおきを。」
ご主人様「はあ、これはどうもご丁寧に。僕は、一応守護天使達の主人です。
      今回の一件についてはらんから聞いたよ。何とお礼を言ったらいいか...
       本当に感謝してるよ。」
Rynex「いえいえ、そんな。G3様がその言葉を聞いたら、『別に助けてねえよ!俺は
     ただ獲物を狩ろうとしただけだ!』とでも言うに違いありませんね。何しろあの
     方は、ああ見えて筋金入りの照れ屋さんですから(笑)」
ご主人様「それにしても、どうしてらんは狙われたんだい?僕達の周りで、一体何が
       起きているんだ?」

Rynexはご主人様に、冥府の復讐鬼が守護天使達を狙っている事、そしてG3が彼女達を守るために活動している事を話した。

ご主人様「復讐鬼...人間の驕りがこんな形で返ってくるなんて...でも、どうやら
       頼もしい味方もいるようだね。彼女達も噂してたよ、あの青いヤツは何者か
       って。それで賛否両論真っ二つに意見が割れてた。」
Rynex「まあ、にわかには信じられないでしょうね。あの方が銃火器満載の鬼畜コマン
     ドーに見えてもそれは当然です(^^;」

みか「ほ〜ら、やっぱりあれは味方だったのよ。むやみに人を疑うなんて失礼よ!」
あゆみ「あら、それはどうかしら。やたらと人を信じすぎるのも良くないのではなくて?」
ご主人様「あゆみ、そんな事を言ったらRynexさんに失礼だろう!」
あゆみ「....申し訳ありません...私とした事が、ついムキになってしまいました。」

ご主人様に注意されてしゅんとなるあゆみ。

Rynex「いえいえ、別にいいですよ。信じられないのも無理ありませんし、あゆみさん
     の言う事も、皆さんの安全を願っていればこそですよ。」
たまみ「ふ〜ん、たまみには、ただのロリコン親父にしか見えませんけど。
    ハッ..!まさからんお姉ちゃんにまで手を出すつもりじゃないでしょうね!?」

不信感を露わにするたまみ。

あかね「悪いけど、私も、ちょっと信じられないな...
    らん姉さんに近づいたのが、何か目的があっての事だとしたら、って思うんだ」
つばさ「ボクは信じるよ。燃えてる店に飛び込んでいったあの姿は、きっと本物だよ!」
るる「るる、じーすぃーたんのサインほしぃおぅ。らって、正義の味方らもん!」
なな「ななも、G3さんのファンになっちゃおっかな?」
もも「......ももも、会ってみたい...」
らん「ところで、この間G3さんが帰る前に、るるちゃんによろしくと言っていましたが、
   何故るるちゃんの事を知ってたのでしょうか?」
Rynex「(ギックウウウウウウウウウッ!!!!!!!)」

らんに痛い所を突かれ、飛び上がりそうになった。

るる「るる、じーすぃーたんにはまだ会った事ないぉ。」
あゆみ「お答えできませんか。何かまずい事でもおありで?」
Rynex「そ、そ、そ、そ、それは...その...(ひええええ...G3様が余計な事を
     言うからぁ〜)」

しどろもどろになるRynex。冷や汗がその焦り具合を物語っていた。

ご主人様「それはともかく、今回の一件で、家にいても狙われる時は狙われるという事
      がわかった。あまり家に閉じこもってても意味はない。まだ反対もあるだろう
      が、強い味方がいる事だし、むやみな外出を控えつつこれまで通りにやって
      いこう。Rynexさん、そのG3さんという人に伝えてほしい。みんなをよろしく
      お願いしますと。」
Rynex「はい、わかりました...って、そういえばメガミ様にも同じ事を頼まれてた
     ような...あ、そうそう、らんさん、あの日はワーバインさんの誕生日だった
     そうで。どうやら、らんさんとの出会いが素敵なプレゼントだったようですね。」
らん「まあ、そうでしたか。あちらでうまくやっていけるといいですね。」
Rynex「ええ。では、そろそろ私は失礼します。」

 

帰ろうとするRynexの前にいたのは、あゆみだった。

あゆみ「Rynexさん、ご主人様はああおっしゃってましたけど、私はまだ信用したわけ
     ではありませんので、そのおつもりで。」
しばしの間、沈黙が流れる。そして、Rynexが口を開いた。

Rynex「あゆみさん、ご主人様のことはお好きですか?」
あゆみ「えっ...?それは勿論ですわ。私のたった一人の素晴らしいご主人様です。
     お仕えできる事を、心の底から喜ばしく思っています。」
Rynex「私も同じです。G3様は、私が心から尊敬する本当に素晴らしい方です。まあ、
     たしかにあの方は世間から見れば、単純で子供っぽくって暴れん坊で口が悪く
     て笑い声が変でロリコンで引きこもりの腐れ厨房オタッキーですが...」
あゆみ「......ほ、本当に尊敬しているのですか...?(汗)」

ここで、今までG3の悪口を並べていたRynexのふざけた口調と表情ががらりと変わる。

Rynex「.....しかし、G3様は本当の強さと優しさを持った心のあたたかい方です。
    愛する人のために自分を投げ出す事の出来る方です。たとえ相手が、自分の
    存在すら知らなくても...。だからこそ、私はあの方にお仕えする事を決めまし
     た。そう、あなたがあのご主人様にお仕えしているのと同じように...」
あゆみ「.........」

そう語るRynexの真剣な眼差しの前に、あゆみは何も言えなかった。

Rynex「G3様は、きっと皆さんを守ってくれるでしょう。たとえ誰にも信じてもらえなか
     ったとしても......。あゆみさん、いいご主人様に巡りあえましたね。あなた
     方の幸せな明日を願っていますよ、G3様と一緒に。それでは〜♪」

去っていくRynexの後姿を、ただ黙って見送るしかないあゆみであった。


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