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第5話「温泉旅行」

それからの二人の戦いには、『壮絶』という言葉が最も相応しいであろう。
真純先生の『女王サーブ <零式>』をエイジさんは新技『エイジスマッシュ <改>』で完璧に打ち返す。またエイジさんのさらなる奥義、『帰ってきたエイジ☆ブラスター』を真純先生の『真純ストライク』が迎え撃つ。
二人のもはや肉眼では捉える事もできない動作、そして38ミリのオレンジボールがことごとく潰れゆくその光景はまさに、神の領域であった。

ロック「こ、これは……」
ティコ「これこそ……伝説の戦い……」
ロック「俺たちは……見届けなきゃならねえ……」
ティコ「守るべき人を守る守護者のはしくれとして……この戦いを己らが魂に焼き付けるのです!」

ティコとロックが、頬を涙で濡らしながら戦いの行方を見守っている。っていうか、何故そこで泣く……。
点数はすでに30対30のデュースに突入していた。どちらかが一点リードしても、すぐさま点を取り返される、その繰り返しが延々と続く一種の膠着状態に二人はあった。
突然、真純先生が戦いの手を止め、エイジさんに微笑みかける。

真純「ふっ、どうやら互角のようね。どう? 貴方が良ければ、サドンデスで決着をつけてみない?」

エイジもラケットを降ろし、不敵な笑みで答えた。

エイジ「がはは☆ それはナイスアイデアじゃ。 ではレディーファーストで、アンタのサーブじゃ。
    撃ってみよ。アンタの十八番の、『女王サーブ』を」
真純「ありがとう。ふっ、じゃあこれで……終わりにしてあげるわ……」

辺りの空気がぴんと張りつめる。二人を囲む観客達も、いよいよ決まろうとする決着を見届けようと、一言も発さずにただ静かに……先生の持つボールに視線を送っていた。
しばらくの沈黙……そして……。
真純先生が……撃った!

真純「これで終わりよ! 『真・女王サーブ』!!」

真純先生の放つ最後の『女王サーブ』は、最高のスピードで軌道を描いていた。そしてその神速のスピードを維持しながら2バウンド目には真横へと進路を変える。
だが、展開を先読みしていたエイジはすでにボールの前で構えていた。放つのは『エイジスマッシュ <改>』か……あるいはそれ以上の技か……。

エイジ「見切ったわ! 食らうがよい! 『エイジスマッシュ <嵐>』!!!」

観客の注目が一点に集まる。
そしてエイジが正に鬼神のような勢いでラケットをボールに叩きつけようとした、その瞬間!


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