P.E.T.S[AS]

第2話「遊園地へ行こう!」

「ご主人様、朝ですよ」
「おはよー! 美月!」

私の目の前に、ティコとロックの笑顔があった。

私「あ、おはよ」
自分の口から出た声が自分の耳に届き、ここは現実世界なのだと納得する。
ロック「あのう、昨日昼まで寝てていいなんつっといて、申し訳ないんだけどさ……」

本当にすまなそうな顔をして、私の顔色を窺うロック。
まさか……目覚まし時計を見てみる。
……
午前5時52分だった……。

ティコ「先生から、お電話が入ってます」

……
ふえ?

「ええ。はいそりゃあもう。まだ眠くて眠くて……」
……
「当然、何か重要な用件なんですよね?」
……
「先生!!!!」
……
「はあ、そりゃあもう…………ねむいんですっ!!くだらないことでこんな時間から電話しないでください!」

ロック「おい、ティコ。また先生の……」

ロックとティコが受話器に向かう私から距離をとりつつ、会話に耳をそばだてている。

「はあ、適当にやればいいんじゃないですか?とにかく、今日は私三人でどこかに出かけようと……」
ティコ「迷惑電話のようですね」

「ま、まさか先生……今日休暇取り消しとか……」

ロック「おい、マジかよ」
ティコ「最悪のパターンですね」

「あ、良かった。……そうですよ。少しはアシスタントの苦労も考えてください……ええ、もう楽しんできますから……え?おみやげ?……旅行じゃないんですから……」

ロック「しかしお気楽な先生だよなあ」
ティコ「全然巨匠という感じがしませんよね」
 
 
 
「ふう……」

受話器を乱暴に置いて、私は再びふとんに……倒れた。

私「ふたりともぉ……こんな時間のときわぁ、なぁにがあってもあの先生の相手しちゃいけないっていつもいってるでしょぉ……」

ふとんに突っ伏して、半分夢うつつに不満を漏らす。なにが面白くて人の安眠を妨害するんだろう。

ティコ「申し訳ありません。ですけど……」
ロック「脅してくるんだよな……『今度から食事手当て、給料から引こうか?』って」
私「ふみゅうぅぅぅぅぅ」

……私ってもしかして社会的弱者?

私「寝直すぅ。寝直すもん!先生のばかぁ……」

……
腹の立つ事に、凄く眠いはずなのに全然眠りにつけない。
生き地獄のような感じがする。
今度やり返してやろうかしら……。
立場的にできそうもない事を考えながら、私はついに奪われた睡眠を取り戻すのを諦めた。

私「遊びに行こう!出かけるよ、二人とも!」
ロック「いいのか? 美月、まだ……」
ティコ「寝ていらいた方が……」
私「眠れないんだよ~~~~~!」

 

ティコとロックは横になってるだけでも違いますから、と私を休ませようとする。
私は……。
>言われるとおりにする。
>どうしてもすぐ遊びに行きたいの!


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