きよく!ただしく!!

元六・ヱ戸時代編 第参話「闇夜の九官鳥」

サファリ「ワオォ〜〜〜〜ン・・・・・・
     ったく、何でオレがこんなことしなきゃいけねぇんだよ・・・」

いやぁ、夜だから犬の遠吠えが必要かなぁって思ったもんで・・・
コホン、さてさて、草木も眠る丑三つ時、
店舗の並ぶここ一帯はすべて板戸が閉められ
かすかに風が吹いております。

並森「・・・・っくしょん!!大森さぁん、もう夜回り止めて帰りましょうよ。」
大森「何言っとるんだ!今日あたり賊が動き出すかもしれんという時に
   おちおち寝ていられるか!!・・・ですよね、徳森さん。」
徳森「・・・・まぁな。」
並森「そんなこと言ったってこんなに寒いのに・・・・・アッ!!」

と、並森は闇の中でぼんやりと灯る赤提灯を見つけたのであります。

並森「大森さん大森さん!屋台ですよ。
   少しだけ飲んでいきましょうよ、ネッネッ。」
大森「ったくしょうがねぇ奴だなぁ。ま、景気付けに一杯ぐらいならいいか。
   ネッ、徳森さん。」
徳森「・・・まぁな。」

3人はフラフラと赤提灯に誘われていくのでした。

並森「おい親父、熱燗一本つけてくれよ。」
親父「へいへい、旦那方こんな遅くまでご苦労でございますねぇ。」
大森「まぁ、お勤めだからな。並森、一杯だけだからな。
   さ、徳森さんも一杯どうぞ。」

猪口につがれた酒をクイッと飲み干す3人。

大森「ときに親父、最近このあたりを騒がせている賊のことなんだが・・」
親父「は?賊ですか?」
並森「そうそう、なんでも『闇夜の九官鳥』だとかなんとか言っちゃってさ。
   親父さん、いつもここらへんにいるんだったら
   何か見たり聞いたりしてるんじゃないかい?」
親父「あ、そういえば・・・・・」

何かを思い出したような親父。
その振る舞いに身を乗り出す3人。

並森「み、見たのか?!」
大森「どこらへんだ、そりゃ?」
親父「その『闇夜の九官鳥』ってのは・・・・」

親父が何か言おうとした、次の瞬間!!

徳森「あ・・・・・・」
大森「う・・・・・」
並森「はれ?・・・・・」

次々と倒れてしまう3人。一体何が起こったのか?

親父「・・・・・旦那方のすぐ目の前にいるんですね。」

と、徐に立ち上がりつけ髭を取り、懐に入れておいた眼鏡をかけると
よしきへと早変わりしたのでありました。

よしき「これでこの人達はしばらく動けないんですね。さて・・・」

よしきは屋台の下に隠していた不思議な箱を取り出した。
木目調で大工の道具箱ぐらいの大きさ。
上のふたを開けると
目盛りの打たれたネジのようなものが3つ4つ取り付けてあり、
ほんとにヱ戸時代か?と思うようなからくりでありました。
横にあるスイッチのようなものをつけると、
開いたふたの裏の部分に、その一帯の地図が表示されました。

よしき「これでよしっと・・・・後はこれで、もしもし、もしもし・・・・」

インカムをつけたよしきが呼びかける。

きよ『もしもし、よしき、感度良好やで。』

これこそからくり一族の末裔・よしきの作った新兵器であります。
よしきはこの屋台で今回の標的・寿曽屋の内部およびその周りの状況を
つぶさにきよと千兵衛に伝えるのであります。

千兵衛『それじゃ、仕事始めるよ。』

よしき「成功をお祈りしてるんですね。」

きよと千兵衛は屋根から屋根へと華麗に飛び回り
ついに寿曽屋の上に立ちました。


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