夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.43「ひとみ一族の復讐」

一方、ここはとある公園。
そこでは、手に手に爆弾やたいまつなどの武器を持った少女たちがかなりの人数で集まっていた。
その集団の中でひときわ目を引くのが、黒のワンピースを着た髪の長い、怜悧な気品をたたえた長身の少女、つまり元女王アリであった。
女王は人数を数えるそぶりをした後、こうつぶやいた。

女王「191人…。前より増えてきたとはいえ…まだまだね。わたくしは生涯に何千何万という子供を産んできましたのに…。」
小隊長格の少女「呪詛悪魔として転生するにはそれなりの霊力が必要だそうですから仕方ありません、女王様。」
女王「うーん、まあいいわ。」

そうつぶやいた女王は、自分の娘である少女たちを見据えて言った。

女王「皆さん!わたくしたちは殺虫剤によって大切な巣を滅ぼされてしまいました!それを許すことができるでしょうか!」

「できない!」という叫び声があちらこちらから巻き起こった。
女王は続けた。

女王「しかし、こうして多くの娘たちが転生することができました!今こそ決起の時です!わたくしたちの巣を滅ぼした地球化学工業に天誅を下しましょう!」
少女たち「おー!」

かくして、女王を中心とした少女軍団は地球化学工業の本社へと向かった。

もう一方で、ひとみとさとみの2人は、地球化学工業の本社に一足先に到着した。

ひとみ「まだ来ていないようですね。」
さとみ「よかった…。」

2人は仲間たちを待ち伏せすることにした。
そして、しばらくして。
かつての仲間たちである少女軍団は到着した。

女王「さあ皆さん、こんなビルなど徹底的に破壊してしまいましょう!もう二度と営業できないようにするのです!」
少女たち「はい!」

軍団は武器を手にビルを取り囲まんと動き出した。しかしその時!

ひとみ&さとみ「待って下さい!」

ひとみとさとみが軍団の前に立ちはだかった。

女王「な、何者?」
少女「あっ!」
女王「どうしたのですか?」
少女「こちらの髪の長い子はわたしの誘いを断った裏切り者ですよ、女王様!」
さとみ「そ、そんな…。」

「裏切り者」の言葉にさとみはショックを受けた。しかし、気を取り直してひとみと共に軍団を説得しにかかった。

さとみ「みんな、そんなことはもうやめて!」
ひとみ「そうです!あたしたちはこんな憎しみに満ち溢れた集団ではなかったはずです!女王様だって、昔はもっと優しかったではないですか!今のように冷たい感じは一切してませんでしたよ!それに…。」

とここで、ひとみは女王へ視線を移した。

ひとみ「あたしを産んでくれた女王様に悪の道を進んでほしくないんです。やっぱりあたし、女王様のことが大好きなんです。」

ひとみは必死で説得した。しかし、その説得はかえって女王の怒りに火をつけてしまった。女王は怒りを露にした表情でひとみを見据え、叫んだ。

女王「う、うるさいうるさーい!…もういいわ。あなたたちなんかわたくしの娘として認めません!」

大好きな女王の口から出てきた衝撃的な言葉に、ひとみとさとみは打ちのめされた。

ひとみ「そ、そんな…。」
さとみ「女王様…。」
女王「さあ皆さん、この2人をやっておしまいなさい!この2人はわたくしたちの敵よ!」
少女たち「はい!」

少女軍団がひとみとさとみに襲いかかる!

ひとみ&さとみ「わああっ!」

そしてまさに少女軍団がひとみとさとみを圧しようとしたその時!


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