夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.38「ジゴクの特訓」

まゆりが饗介の手で変身を解かされるという屈辱的敗北を喫した後、カルテットの4人は、折を見て戦闘能力の強化のために自主トレをするようになった。
普段は、4人で広場などで武器の使い方の練習をしたり、変身しないで街中をランニングしたりする程度だったが、たまにはけっこう本格的にやることもある。今回の話の舞台もそれであった。
今回、ひとみはあやと共にD.F.の広大な屋外訓練場の一角にいた(ちなみに2人ともすでに変身は済ませてある)。

あや「ハイこれ。」

あやが渡したのは金属製の丈夫そうなビームガンのようなものと、液晶ディスプレイつきのブレスレットであった。

ひとみ「何ですか、これは?」
あや「これは訓練用の模擬銃セット。この銃から出るビームが急所やバッジに当たると、このブレス
    レットが声と文字で当たったところを知らせて、もし実弾で撃たれたらどうなるか知らせてくれ
    るわけ。」
ひとみ「ハイテクですね。」

ひとみは感心していた。続いてあやは、訓練場所についての解説を行った。

あや「ここには、わたし特製の罠がたっぷり仕掛けてあるから、ひとみはそれをかいくぐってわたし
   を倒しなさい。」
ひとみ「ちょっとそれは卑怯じゃないですか!これでは圧倒的にあやさん有利ですよ!」

ひとみは不満を漏らしたが、あやはお構い無しであった。

あや「何言ってるの。敵のアジトに忍び込んで戦わなきゃならないことだってあるでしょ?アウェーで
    戦う難しさを今のうちに体験しておきなさい。」
ひとみ「…はーい。」

ひとみは少し釈然としなかったが、とにかく訓練は始まった。
ひとみは、あやによって作られた見通しの効かない訓練場所の中を、用心しながら歩いていた。

(どこに罠があるか…)

とその時、ひとみの足が何か紐のようなものを引っ掛けた。

(しまった!)

と思った時には、すでに上から大玉ころがしの大玉のようなものを上から紐でつったものが振り子を思わせる動きでひとみに体当たりを仕掛けていた!

(わっ!)

それでもひとみは、その大玉を間一髪で交わした。しかし…
ベチャッ!
交わした先が悪かった。着地した所には、マンホール大のトリモチが多数仕掛けてあり、ひとみはそれに両足をとられてしまったのであった。

ひとみ「こ…これは…。」

ひとみはあせった。しかし、通常のトリモチよりも底が深いトリモチで両足をとられてしまったので、力の強いひとみにも脱出はできなかった。もはやひとみは翼をもがれた鳥に過ぎなかった。

ひとみ「た…助けて下さい…。」

そこにあやが登場した。

あや「どうやらわたしの勝ちのようね。」
ひとみ「あやさん…このトリモチは…。」
あや「わたし特製のディープトリモチ。実戦初投入だったんだけど…どうやら実験は成功のようね…
    そうだ!」

とここで、あやはリモコンを取り出した。

あや「ついでだからもっと実験させてよ!…ポチッとな。」

あやがリモコンのスイッチを押すと、ツタのようなものがひとみの上部から出てきた。そして、ひとみの手首をとらえた。ひとみはトリモチとツタに自由を奪われ、あたかも人文字で「Y」を書いたような姿勢にさせられた。

ひとみ「あやさん、何をするのですか!」

ひとみは、あやの理不尽な仕打ちにパニック状態であった。そして、それは顔にも出ていた。

あや「……………。」

か弱さを露にしたひとみの様子を見ていたあやの中で何かが切れた。そして、興奮し、目を血走らせてひとみのもとに駆け寄った。

ひとみ「あ、あやさん?」

ひとみに駆け寄ったあやは、ビームガンを取り出した。そして、ビームガンの台尻でひとみのバッジを狂ったように殴打し始めたのだ!

あや「ひとみ…ひとみ…。こんな戦闘服なんか邪魔だよ…。」
ひとみ「やめて下さい…。お願い、やめてぇー!」

ひとみは泣きながらあやにやめることを懇願した。しかし、ひとみの泣き顔はあやのアリジゴクとしての本能を刺激した。
そして、ついにひとみのバッジは破壊された。それと同時にひとみの変身も解け始める。

ひとみ「あ…ああーーっ!」

ひとみの戦闘用メイド服が全て変身中のような光に戻ってしまう。それと同時にひとみの美しい体のラインも垣間見えるようになり、それがひとみの羞恥心をいっそう煽る。
戦闘用メイド服だった光は、どんどんひとみの体から離れていく。頭の飾り…手袋…ブーツ…あたかも変身シーンを逆回しするかのように、ひとみの変身は解けていく。

ひとみ「や…やめて下さい…。だ…だめです…。」

ひとみの願いもむなしく、ひとみの体を隠す光は少しずつ、しかし確実に失われ、それと共にひとみの柔肌も露になってゆく。
一方、その様子を見るあやは興奮の絶頂にあった。

あや「ひとみ…ひとみ…。可愛すぎる…可愛すぎるよ…。」

そして、ついに戦闘用メイド服の本体だった光が失われた。ひとみは一瞬だけ一糸まとわぬ姿となり、その後変身前の普段着に戻った。輝きを失ったバッジがひとみの胸から落下し、トリモチに吸い込まれた。

ひとみ「うっ…うっ…うええっ…。」

ひとみは、変身を完全に解かされたショックですすり泣いていた。
さて、あやの方はというと、ひとみの変身を自らの手で解かせたこと、そしてひとみの裸体を見たことで、もはや手がつけられないほど興奮した。そして、泣きじゃくるひとみに抱きついた。

あや「ひ、ひとみぃー!」

と、ひとみに抱きついたことで、あやは正気に返った。

あや「はっ!わたしはいったい何を…。」
ひとみ「あやさん…ひどいです…ひどいですぅ…うえっ…えっえっ…。」

ひとみはいまだに泣きやめずにいた。さすがのあやも、これにはすまないという気持ちが湧いたのであった。

あや「あの…その…ごめん…。つい、自分を見失っちゃって…本当にごめん!」
ひとみ「あやさん…自分がアリジゴクだってことは忘れて下さいよ…。」

ようやく泣きやんだひとみは、あやに静かに怒りをぶつけたのであった。

あや「あのさ…新しいバッジあげるからさ…。」
ひとみ「当たり前ですよ!全く…何てことを…。」

ひとみの怒りはけっこう続いていたが、帰るころにはおさまったのであった。

ひとみ「今度はまともな訓練したいですね。それでは、また。」
あや「うん、さよなら。」

こうしてひとみは地上へと帰っていった。
一方、あやはと言うと、ひとみを怒らせたことはすぐに頭の片隅に追いやられた。そして、こんなことを考えるのであった。

(か弱い様子を見せるひとみ…変身が解けていくひとみ…裸のひとみ…泣きじゃくるひとみ…。ホントに可愛かった!またあれができたらうれしいな…おっといけないいけない。)

どうやら、あやのアリジゴクとしての本能は簡単には抑え切れないようであった。

おわり


第37話に続く「変身を解かされる編」です。第24話(公開停止)よりは上手く抑えてあやにアリを「食べさせる」ことができたと思います。


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