夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.32「怒りの正力」

さて、前回かつみの手によってストリップ剣を破られた饗介であったが、その八つ当たりの牙は着々と研がれていた。

饗介「刀…刀を手に入れねば…。」

という感じで目を皿のようにして武器を探す饗介であったが、それは案外簡単に見つかった。
街のデパートで日本刀の展示即売会があったのである。というわけで饗介はそこへと向かった。
そこで饗介は…

饗介「いいか…お前は俺にこの200万円の刀を売ったんだぞ…。忘れるな…。」
売り子「はい…。」

と、お得意の精神操作術でまんまと名刀をせしめたのであった。
しかし、それの使用目的が「女の子の服を斬って裸にする」などというものなのだから名刀が泣こうというものではある。まあ饗介が持ち主では仕方が無いであろう。
刀をめでたく手に入れた饗介が次にやることは、もちろんターゲット、すなわちまゆりを探すことである。

饗介「まゆりちゃん…まゆりちゃん…。」

しかし、いざ探すとなるとなかなか見つからない。それでも饗介はあきらめなかった。

作者「全く、その情熱を仕事にでも活かせば今頃大富豪だぞ。」
饗介「ん?今の声はいったい…。」
作者「まずっ!」

…閑話休題。
さて、あきらめない饗介の願いがかなったのか、ついにまゆりは発見された。

饗介「やった…まゆりちゃん…ってお!」

しかも、まゆりだけではなく、カルテット全員が一緒に歩いていたのである!これはまさしく饗介にとっては確変大フィーバーな状況であった。

饗介「よーし、いっちょやってやるか!」

饗介は気合を入れた(方向性は明らかに間違っているが)。そして…

饗介「待てい!」

4人の前に仁王立ちになる饗介。

まゆり「あ、あなたは…。」
あすか「ハエ…。」
みゆう「ゲー…。やだ…。」
ひとみ「今日は何をするつもりですか?」

カルテットは、まるで汚いものを見るかのような表情で饗介を見た。その様子は、饗介にわずかに残っていた慈悲心を吹き飛ばしてしまった。

饗介「ふーん…。そんな顔してくれるんだ…。分かったよ。下着くらいは残しといてやろうと思ったけど…やっぱり全裸をさらさせてやるぜ!」
まゆり&あすか&みゆう&ひとみ「?」
饗介「では…うおりゃあああ!」

怪訝そうな表情のカルテットの周りで、饗介は思いっきり刀を振り回した。するとどうであろうか。カルテットの服が思いっきり弾け飛び、4人とも街の真ん中で一糸まとわぬ姿になってしまったではないか!
初めのうちは、カルテットは自分たちの身に何が起こったのか全く理解できなかった。しかし、少し経って、自分たちが全裸にさせられたことに気づくと、猛烈な羞恥地獄が4人の心を襲った!

まゆり&あすか&みゆう&ひとみ「き、きゃーーーーっ!」

4人は慌てて胸と股間を隠してうずくまった。しかし、白昼の街中で女の子4人が裸になっているのである。注目を浴びないはずがない。というわけでギャラリーがどんどん集まってきた。

見物人1「裸だ…。女の子の裸だ…。」
見物人2「すげー、モロじゃん。」

集まってくる見物人の数が増えれば増えるほど、4人の感じる屈辱や羞恥心も増してゆく。

ひとみ「いやです…。」
みゆう「見ないでよぉ…。」
あすか「ううっ…。」
まゆり「悪魔…。人でなし…。」

4人は顔を真っ赤にしてぼろぼろと涙を流していた。
一方饗介は、使い捨てカメラを片手に自分史上最高に幸せな時間を満喫していた。

饗介「よっしゃ撮れ撮れ!へっへへ、いい眺めだぜ!絶景かな、絶景かな〜!」

しかし、その饗介の幸せも長くは続かなかった。

??「…ちょっと。」

誰かが饗介の肩をたたいた。

饗介「何だよ、今いいところって…へ?」
??「へ?じゃないんだよ。何やっているの君。」
饗介「何って…あっ!」

何と、肩をたたいたのはD.F.隊員ならぬ警察官だったのである!

警官「見てたぞ、一部始終を。全くあきれた奴だな。」
饗介「う、うそ〜。」
警官「銃刀法違反、および暴行の現行犯で逮捕する!」(ここで饗介に手錠をはめる)
饗介「お、おのれ…。」
警官「はい、ただいま街中で刀を振り回していた男を逮捕しました。なお、この余波で女性4人が裸にされてしまいました。…ええ、ですからパトカーと着る物4人分を大至急よろしくお願いします。」(注:無線に向かってしゃべっています)
饗介「ちっ…。」
警官「はい君たち、見世物じゃないんだからもう見るのをやめてあげなさい!」
まゆり&あすか&みゆう&ひとみ「うええ…。」

しばらくして、パトカーがやってきた。

警官「さあお嬢さんたちは車の中で着替えなさい。家まで車で送ってってあげるから。」
まゆり「ありがとうございます…。」
あすか「すみません…。」
みゆう「ありがとう。」
ひとみ「助かりました。」

かくして、服を貸してもらったカルテットは、パトカーに乗せられて去っていった。

警官「さてと、君は本署でじっくりと取り調べてもらうことにしようか。さあ来なさい!」
饗介「い、いやだあああ!」

饗介は、警察官に連れられて警察署へ赴く羽目になったのであった。
そして警察署にて。

刑事「じゃあまずこの刀と写真は没収!」
饗介「え、そんな!」
刑事「そんなじゃない!君、刀は倉庫に置いといてくれ。あとカメラはすぐ壊しておくように。」(刀とカメラを別の刑事に渡す)
饗介「や、やめろおおお!」

饗介は心底悲しい叫びを上げざるをえなかったのであった。
だが、こんなところに閉じ込められては何もできない。というわけで、饗介は調査が一段落したスキをついて、刑事や警官を超能力でだまして警察署を脱出したのであった。
脱出はできたものの、刀とカルテットのヌードを収めた使い捨てカメラは永久に饗介の手には戻らなかった。

饗介「くそ!誰だよ!『日本の治安は悪くなっている』だの『日本の警察は堕落している』だのと言った奴は!俺がこの手でしばき倒してやる!」

今の饗介には、評論家へ場違いな怒りをぶつけることしかできることはなかった…。

おわり


D.F.ならぬ警察に成敗させてみたのがミソです。公権力もあきれる饗介…。と言うよりほとんど饗介のソロライブではないですか…。


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