死の先に在るモノ

第3話「追跡者」(チェイサー)

小男「誰です?!」
レオン「手前らに名乗る名は持ち合わせていないぜ!」
少女「くっ、邪魔されてたまるか!」

少女は身を翻すと、一気に隣のビルに飛び移る。
そしてすぐ、その隣のビルへと飛び移っていく。

レオン「待ちやがれ!」

追いかけようとしたレオンの前に小男が立ち塞がる。手にはナイフが握られている。

小男「ヒッ、ヒッ、ヒッ、お前のお相手は、このワタシですよぉ」
レオン「チッ!呪詛悪魔どもめ!」

レオンは懐からコンバットナイフを取り出し、構える。
 
サキも大男と対峙している。
大男の手には巨大な戦斧が握られ、
対するサキはバスタードソードと呼ばれる大剣を両手で構えた。

大男「ふははは、どうした、かかってこないのか!?臆したか!」
サキ「・・・・・・」
大男「ならばこちらから行くぞ!覚悟しろ!!」
 
一方、レオンと小男は互いにナイフ使い同士での戦いになっていた。
レオンは小男の突きをナイフの腹で受け流し、薙ぎ払う。が、小男は頭を僅かに反らしてそれをかわす。
同時にに飛んできた小男の蹴りを左腕でガードする。
レオンがナイフを振るうが、小男もナイフで受け止める。
互いに、弾かれたように飛び退き、間合いを取る。

小男「ヒッ、ヒッ、ヒッ、その程度の実力で、よく追跡者が務まりますねぇ?」
レオン「その下卑た笑い・・・やめてもらおうか!」
 
サキは防戦一方になっていた。
だが見るべき者が見たら、サキの動きに無駄が多過ぎる事に気付いただろう。
戦斧がうなりをあげて振り下ろされ、あるいは薙ぎ払われる。
するとサキは常に後ろに飛んでかわす。
そして、必要以上に間合いを取ろうとする・・・
何度か同じ光景が繰り替えされる。そしてサキはビルの端まで追い詰められていた。

大男「がはははっ、もう後が無いぞ!口ほどにもない」
 
大男の余裕の声に小男の注意が一瞬、レオンからそれた。しかし彼らは知らなかった。
この二人の前で隙を見せれば・・・待つのは「死」のみであったことを・・・
レオンが持っていたナイフを投げる。一瞬の隙を突かれ、対応がほんの少しだけ、遅れた。
 
飛んできたナイフを払い落とした時・・・小男は背後から左胸を貫かれていた。
レオンはナイフを投げると同時にテレポートして、小男の背後に出現、
新しいナイフを取り出し、小男の左胸を貫いたのである。
文章にすると長いが、実際にはナイフを投げてから0.1秒もかかっていない。
 
小男「ぐ・・・こ、こんな・・・手に・・・」

一度ナイフを抜き、再び心臓の部分にナイフを突き立てる。

小男「お、お、の、RE...E...e......」

自分の迂闊さと守護天使、そして人間を呪いながら、光の粒となって消えていった。

レオン「アバヨ・・・魂の迷い児・・・」
 
大男「な、なにい?!」
レオン「次はお前の番だぜ・・・」
大男「く、くそう・・・これでも食らえ!!」

大男は煙玉を投げつけた。もうもうと煙幕が立ち込める。
その隙に隣のビルからビル伝いに逃走する。鈍重そうな巨体に似合わず、なかなかの
素早さであった。


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