Legend of Quel

第一部(P.E.T.S.12人編) 第11話

ワシ怪人アドラーは広い空間を利用し、音速をも超える猛スピードで辺りを縦横無尽に飛び回り、G3を翻弄する戦法に出た。

アドラー「ヘヘヘヘヘ、どうだ!これではどこから来るかわかるまい!行くぜ!」

そう言ってG3に向かって体当たりを仕掛けるが、それを軽々とかわすG3。

G3‐XX「何でえ、ワーバインより遅いじゃん。」
アドラー「ほほう、これをかわすとはなかなかやるな。だったら、これでどうだ!」

空中のアドラーが突然、何体にも増えた。分身のようである。

G3‐XX「ああ、スピードを生かした分身ね。ありがちありがち。」

そう言っておもむろにGM‐01カスタムを取り出し、マガジンをはずして中の弾丸数十発を手にとった。

アドラー「これで終わりだ!!!」

数十人のアドラーが一斉に襲い掛かる!G3は、なぜか自分の周りに弾丸をパッとばら撒いた。
アドラーの体当たりがG3にヒットするかと思われたその瞬間、アドラーはなぜか体勢を崩して墜落し、のたうちまわっていた。その体には、まるで銃で撃たれたかのような傷が数箇所にあった。

アドラー「な、何イイイイッ!!!!!バカな...こ、これは一体...?」
G3‐XX「アヒャヒャヒャヒャ、自分から弾に当たりに来てくれるとはな。お前が高速で
      突っ込んでくる時に、俺が空中にまいた弾にぶつかったから撃たれたのと
      同じくらいのダメージになったのさ。」
アドラー「ヌウウ...まさか俺の超スピードが仇になったとは...」

G3‐XX「相手が呪詛悪魔だったら石つぶてで充分だったんだが、復讐鬼の頑丈な
      ボディにはGM‐01の弾でなきゃ効かねえからな。」
アドラー「ケッ!まだ終わっちゃいねえぜ!これでもくらえ!!!」

そう言って口から冷気を吹き付けてくるアドラー。ゆきを凍らせたものよりもさらに凍てつく冷気だ。
絶対零度以上の寒さで凍り付いていくG3。

G3‐XX「おお、体に氷がついていく〜♪こおりゃまいった♪」

思いっきり親父なダジャレをかましつつ、凍っていく辺り一面をよそに全く平気な様子で体についた氷を剥ぎ取って袋に詰めていく。

アドラー「何ィッ!?絶対零度で凍らないだとォッ!!!そんなバカな!!!!!」
G3‐XX「ヘッヘッヘッ、大漁大漁♪これでかき氷作って喰ったろ。シロップはRynex
      の奴に買いに行かせよう。メロン味がいいな☆」
アドラー「な...何て奴だ...こりゃ一旦退いた方がよさそうだ。」

バサバサバサバサ......そう言って慌てて飛び去っていくアドラー。

G3‐XX「ブワカめ!逃げられると思ってんのかい!グランチェイサー、モードチェンジ!!!」

G3がグランチェイサーにまたがってスイッチを押すと、タイヤが変形して地面と水平になり、それをローターとして空中に浮かび上がった。グランチェイサーにはこうした飛行能力が備わっている。
これが、エアクラフトモードだ。グランチェイサーではるか上空に舞い上がり、飛んで逃げるアドラーをサーチスコープで捕捉した。

G3‐XX「GR‐07、アクティブ!」

ここでウェポンコンテナから長距離精密射撃用ライフル、GR‐07を取り出した。そして照準を合わせて狙いを定める。

G3‐XX「気分はもう、ゴルゴ13だな、こりゃ。というわけで...あぼーん!!!!!」

ズドオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!

撃ち出された弾丸は、はるか遠くで飛ぶアドラーの体を正確に貫いた。まるで、光の矢のように...

アドラー「ギニャアアアアアアアアッ!!!!!!」

そのまま墜落し、地面に達する前に爆死するアドラー。
貫通した弾丸も用済みとなった瞬間に消滅し、よそ様に被害を出す事はなかった。

G3‐XX「フキャフキャフキャフキャ、90式はブリキ缶だぜィ♪」

意味不明なセリフを口走りつつ、ゆきが氷漬けになっている地点に戻ってきたG3。

G3‐XX「ひえー、見事なまでに凍ってるぜ。こりゃしもやけになるぞ。」

のん気な事を言ってグランチェイサーから何かを取り出す。

G3‐XX「さあて、この間どこぞの特殊部隊からかっぱらってきたこの火炎放射器が
      さっそく役に立つってわけだ。そんなこんなで、ファイアー!!!」

ゴオオオオオオオオ......

火炎放射器の炎によって、みるみるうちに氷が溶けていく。皮肉にも、苦手だったはずの炎によって救われるゆき。
やがて氷の中から救出したが、ゆきの体はすっかり冷え切っており、意識を失っていた。

G3‐XX「やれやれ、このままじゃ風邪ひくぞ。しゃあない、焚き火でもするか。あ、
      そういえばたしかこういう場合は濡れた服を脱がさないと風邪ひいちまうって
      Rynexの奴が言ってたっけ。」

火炎放射器で焚き火をつけ、ゆきの濡れた服を脱がし、それを雑巾のように絞って水分を抜き、その後しばらくアーマーの熱でゆきの体を暖めた。

G3‐XX「あ〜あ、早くあったまんねえかな。あと服も乾かさなきゃならんし。乾いたら
      とっとと送り届けて帰ろ。」

裸のゆきを抱きながらやる気なさそうにぼやくG3。
ゆきファンにとっては実にうらやましいシチュエーションでありG3に対して殺意を抱きかねないところだが、真性ロリコンのG3にとってはゆきの事など異性としては全く眼中になく、女神のように美しいゆきの裸体もG3にとってはただの人体でしかないのだ。ゆきファンの皆さん、ご安心めされよ(笑)

G3‐XX「クックックックッ......全く幸運よのう〜、俺ってさあ。怪人ぶちのめして
     こいつを取り返せば、みどりタンがおデートしてくれる事になっている、ヘッ
     ヘッヘッ。たった数分の戦いでそんだけおいしい目にあえるなんてよう...
     ギャルゲーの主人公以上に俺ってラッキーだと思わんかい〜、くぉのタネナシ
      ヘチマがよォ!!!」

一方、工事現場では、あかねが意識を取り戻していた。

あかね「それじゃあ、あの青いヤツが...?」
みどり「はい、G3さんがあかねさんとみどりを助けてくれたれす。上から落ちてくる
     鉄球を、機関銃でズダダダダ〜って撃ち落としてくれたんれすよ。」
あかね「...皮肉だな、銃弾で助けられるなんて。でも、私はまだ信じたわけじゃない
     よ。それに、ゆき姉さんの事も心配だ。」
みどり「あかねさんも、疑り深いれすね。あの人ならきっと、ゆき姉さんも助けてくれ
     ますよ。」
あかね「......」

複雑な心境のあかね。しばらくして2人が家に戻ると、ゆきの無事な姿があった。


Otogi Story Index - シリーズ小説 - Legend of Quel