きよく!ただしく!!

呪詛悪魔編 第十二話「狂気の王者・vs金剛」

@@@「危機一髪、じゃったな☆」

塀の上に一人の男が立っている。
よくみると、その男は脇によしきを抱えている。

よしき「遅かったんですね・・・・エイジ・・・さん・・」

男はニカッと歯を見せた。

エイジ「助けてもらってなんじゃその言い草は・・・
     ま、それだけいえればダイジョブだの?」

そういうと男は急にまじめな顔になり金剛のほうを向いた。

エイジ「守護天使、鷲のエイジ!ただいま参上!!!!
    おいゴリラーマン、よくもワシの仲間で遊んでくれたな。
    このお礼、きっちり返させてもらうぞい。」
金剛「ウゥゥゥ・・・ウオォォォ!!」

金剛はエイジの立つ塀にパンチを繰り出した。
塀は音を立てて崩れたが、
エイジはよしきを抱えさっそうと飛び上がり、
一回転して金剛の前に着地した。

エイジ「ナンジャ?あまりに興奮して言葉も忘れておるのか?
    そんなに叫ぶとご近所迷惑じゃぞ。」
金剛「コロス・・・守護天使・・・コロス!!!」

またも6本の腕を一束にしてパンチを放った。
エイジはひらっと後ろによけ、よしきを地面に置いた。

エイジ「完全にイッとるの、この男。
    これじゃワシ一人だけでは無理かもな・・・」
$$$「だから俺達が来てやってんだろ?」

金剛の背後で声がした。

金剛が振り向くとそこにはふたりの対照的な男が立っていた。
一人はスカジャンにジーンズ、茶髪といった不良っぽい男。
もう一人はビシッとスーツを着た綺麗なブロンドヘアーの男。

エイジ「ナンジャ、お前等来とったんか・・・・」
%%%「ご挨拶ですね、エイジさん。心配して来てあげたというのに・・」

と、いきなり茶髪男が前に出た。

サファリ「守護天使、狼のサファリ!!助太刀に来てやったぜ!!」

ため息を一つ吐き、金髪のほうも一歩前に出た。

ユージ「同じく、守護天使、クジャクのユージ。
     助けに来ましたよ、よしきさん。」
よしき「ふたりとも・・・・」

金剛のほうに向き直るサファリとユージ。

サファリ「やいてめぇ!!てめえのせいでせっかくのそらとの
     お遊戯タイムがパァになっちまったんだぞ!!
     責任、とってもらうからな!!」
ユージ「私も一言言わせてもらいますけど・・・・・
     私だってだい君にお料理教えて差し上げる予定を
     キャンセルしてきたんです。
     覚悟してくださいよ、ゴリラさん。」
よしき「・・・・ふたりとも・・・・」

なかば飽きれているよしき。

エイジ「ああ言ってるが、二人ともいても立ってもおられんかったんじゃ。
    照れおってからに・・・よしき、立てるか?」

ゆっくりと立ち上がるよしき。

よしき「もう・・・大丈夫ですね・・・・金剛!!」

金剛はまたも振り返り、よしきをにらむ。

よしき「今・・・・・・・救います!!!」

金剛に向かい駆け出すよしき。その手は青く光り輝いている。

金剛「ウオォォ!!」

右の3本の手でよしきを払おうとする金剛。
と、すかさずよけるよしき。
その後間髪入れず金剛の足元にサファリがスライディングで突っ込んだ。

金剛「ウォッ!!」

一瞬バランスを崩すが、すぐに立ち直り後ろを振り向く金剛。
と、そこにはすでにユージが立っており、金剛の顔に見事な蹴りを決めた。
ドォォン・・・・大きな音を立てて倒れる金剛。
と、上空から青い光が金剛に向かって落ちてきている。

それはよしきの拳だった。

よしき「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

金剛のみぞおちによしきの拳がめり込んだ。

金剛「グアァァァァァァァァっ!!」

金剛の悲痛な叫びが闇の空に吸い込まれていった。
と、金剛の目が赤から青に変わった。
狂気の王者は空を仰ぎ、ぴくりとも動こうとしない。

サファリ「どうよ!!これが守護天使の力だっつの!!」

サファリはガッツポーズを金剛に向けた。
金剛は反応を示さない。戦意を喪失しているようだ。
ユージがサファリの肩を叩く。

ユージ「これからですよ、サファリさん。」

二人はその場から少し離れた場所に移った。

よしき「エイジさん・・・あれを。」
エイジ「うん・・・・」

エイジは懐からクリスタル製の小瓶を出した。
それを受け取ると、よしきはその瓶の口を金剛に向け叫んだ。

よしき「邪気昇天!!魔封瓶!!!」

すると金剛の体が砂と化し、
足の先からどんどん瓶の中に吸い込まれていく。
この魔封瓶(まふうびん)とは、天界に古くから伝わる祭器で
この中に入ると悪しき心や前世からの因縁が浄化され
新たなる生を受けることができるという。
しかし浄化される期間は個人差があり、いつそこから出られるかは
誰にも予測がつかないのである。

約一分後、砂と化した金剛はすべて魔封瓶の中に入ってしまった。
瓶にふたをし、深くため息をつくよしき。
エイジは金剛が倒れていた場所へ行き、小さな鉛の塊を拾った。

エイジ「これが・・・あやつの運命を狂わせた弾か・・・・」

力をこめて握り締め、エイジはその弾を懐にしまった。

エイジ「怒りからは何も生まれはせん・・・
    しかし、人間の中には動物が怒りの感情を抱くのを
    誘発させるようなことを平気にするやつがおる・・・・・
    守護天使とはいえ・・・・哀しいのぅ・・・」
よしき「エイジさん・・・・」
ユージ「私たちは・・・幸せです。やさしい心を持ったご主人様に
    出会えたのですから。」
サファリ「それに、こんないい仲間にも出会えたし・・・な。」
よしき「必ず・・・必ず金剛も、次に生を受けたら・・・・
    いいご主人様に・・出会えるんですね。」
エイジ「そう・・・願うとするか・・・さ、よしき。
    ご主人を追うぞい。きよのことも心配だしな。」
よしき「はい!!」

こうして4人の守護天使は千田の後を追い
神社に向かって駆け出した。


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