その5:しつじの世界SS5『恐怖?!ケンの初めてのおつかい』

ところ変わってここは現世。
あかねが一人商店街を歩いている。

あかね「暇だなぁ・・・・」

今ごろ家では皆があかねのために誕生日パーティーの準備をしている。
準備が終わるまで散歩をしてくるようにいわれたのだ。

あかね「早く準備できないかなぁ・・・・」
ケン「ぉぃ・・・」
あかね「・・・・・」
ケン「おぃ・・・・・・」
あかね「・・・・・・」
ケン「おいって!!!」
あかね「きゃっ!!!」
ケン「わっ!!!」

いきなり大きな声をかけられ驚くあかね。
その驚いた声に驚くケン。

あかね「ハァハァ・・・・な、なんなんですか?」
ケン「お、お、お、お前が、が、が、あ、あ、あかね、か?」
あかね「そうですけど・・・・あのぉ。」
ケン「お、お、お、オレ様は別にあ、あ、あ、怪しい奴じゃ
   な、な、な、な、ないからな。」
あかね「・・十分怪しいんだけど・・・」

一歩近づくあかね。

ケン「わ、わ、わ、わ、わ、バカ!く、く、来るな!!
   頼むからこっち来るなって!!!」
あかね「???」

立ち去ろうとするあかね。

ケン「あ、あ、あ、あ、待て!行くな、バカッ!!!」
あかね「どっちなの?」

少々困った顔をするあかね。

ケン「だ、だ、だ、だからオレ様の話聞けって。」
あかね「何?」
ケン「お、オレ様の名前はケンだ。『しつじの世界』から来た。」
あかね「『しつじの世界』から?」
ケン「お前、き、今日誕生日だろ?」
あかね「え?あ、うん。」

色紙を前にさしだすケン。

ケン「こ、これ、『しつじの世界』の皆からのプ、プレゼントだ。」
あかね「これ・・・私に?」
ケン「は、早く受け取れよ、バ、バーカ!!」

色紙を受け取るあかね。

あかね「・・・ありがと。」
ケン「わ、わ、渡したからな。ちゃんと渡したからな!!」

突如走り去るケン。

あかね「あ、ち、ちょっと・・・・」

追いかけるまもなく、ケンの姿は見えなくなった。

あかね「・・・ヘンなの。」
るる「あかねおねぇたぁ〜ん!!」

るるとみどりがやってきた。

みどり「パーティーの準備ができたれすよ。」
あかね「あ、うん・・・」
るる「ぉ?おねぇたん、それなんでしか?」

るるが不思議そうにあかねの持つ色紙を見つめる。

あかね「これ?これは・・・面白い人からの贈り物。」
みどり「おもしろいひとって誰れすか?」
あかね「う〜ん、よくわかんないけど・・・すっごくいい人。」

ほんのりほほを赤らめ、あかねは色紙を抱きしめた。

みどり「ムムム・・気になるれすねぇ・・・・」
あかね「さ、かえろ。家まで競争!!」

突然家に向かって走り出すあかね。

るる「あぁ〜!ずるいぉ〜〜!!」
みどり「待ってくらさぁ〜い!!!」

あかねのあとを追って走りだするるとみどり。

こうしてケンの初めてのお使いは幕を閉じた。
これで少しはトラウマを克服できたかな?

ケン「できるわけねえだろ、バーカ!!」

Fin


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