Legend of Quel

第三部(完結編) 第26話

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ......

クゥエル「ムッ!?」
るる「地震らお...?」

隅の方に転がっていたG6の首がカタカタと動き出し、語り始める。

G6‐オメガ「......大邪神が...復活する......」
クゥエル「何ッ!?」

るるは怯えるようにクゥエルにしがみついている。

天界の一同「ええええええっ!!!!!」

あまりにも意外な展開に驚きを隠せない一同。

クゥエル「るるは無事なのに、どういう事だ!!!」
G6‐オメガ「3次元を含む全ての次元から放たれる負の要素を吸収し...
更に...俺とお前の戦いで発せられた余波をも吸収した...
大邪神にとってはどちらも、生贄以上の絶好のエサだ...」
クゥエル「な...何だと...!!!」

あまりの衝撃に一同は言葉も出なかった。
(ここでお前が勝ったとしても、どの道人類に未来はない!!!)
さきほどのオメガの言葉がクゥエルの脳裏によみがえる。

G6‐オメガ「せいぜい頑張って『もう一仕事』しな...」

なぜかG6は、『もう一仕事』という単語に含みを持たせる。

G6‐オメガ「お、俺の...勝ちだな......グフッ...!」

そう言い残し、G6の首は砂のようにボロボロと崩れて消えた。
天界と613次元にしばしの間沈黙が流れる。

クゥエル「くそっ!!!まんまと利用されたって事かよ、ド畜生がッ!!!!!」

地団太を踏んで悔しがるクゥエル。

 

レオン「そうか、生贄はG3をおびき寄せるための人質でもあったわけか。
ただ生贄を捧げるよりも、G3の力を利用した方が復活した大邪神の力がより強大になるとG6は判断したのだろう。」
サキ「もしかしたら、大邪神が生贄で蘇るのいうのはG3をおびき寄せるための狂言だった可能性もあるわね。
そもそも、全宇宙を滅ぼすほどの存在が少女1人の魂だけで蘇るものなのかしら...」
Rynex「生贄だとエネルギー自体はあまりにも少ないですが、
既に復活に備えて力を蓄えていた大邪神にとっては、刺激を与えるための起爆剤としてなら十分です。純粋な心を持った少女なら誰でもよかったのかも知れませんが、るるちゃんをターゲットにしたのはおそらくG3様をおびき寄せるのに最適だったからでしょう。」

 

と、その時、使い魔達とワーバインがクゥエルのもとへ到着した。

ワーバイン「ふう、やっとついたぜ。」
ゴ・ブウロ・グ「G3様、異層次元の瘴気が消えていました。おそらく...」
クゥエル「ああ、わかってる。多分、大邪神復活の前兆だろう。」
るる「......るる達、皆死んじゃうお...?」

不安のためか泣きそうなるる。

クゥエル「大丈夫だ!大邪神だか何だか知らねえが、んなもん俺がぶっ潰してやんぜ!!!!」

即答したクゥエルは立ち上がり、使い魔達の方を向いて、

クゥエル「お前らは、るるを連れて3次元に戻ってくれ。」
ゴ・ガドル・バ「わかりました。」
るる「じーすいーたん...行っちゃうお...?」

るるは涙目ですがり付いてくる。そんなるるに対しクゥエルは、るるの目の高さまでしゃがんでるるの手を握る。

クゥエル「俺は必ず勝つ!大邪神を倒したら、またお前に会いに戻ってくる。約束だ!」
るる「本当らお?」

るるがクゥエルの目を見る。

クゥエル「おおよ!俺が最愛のお前を見捨てるわけねえだろ。んで、俺が戻ってくるまで代わりにこいつを持ってろ。」

そう言ってG3は左上腕部にアタッチされているコンバットナイフのGK‐06をはずし、るるに渡す。
他の武器が全て失われ唯一残ったのがこのナイフであるが、この先の戦いでは役に立つまい。
なお、GK‐06を含めG3の持つ武器は全てG3から発せられる特殊な信号を受信してはじめて始動するものであり、それがない限り殺傷能力を持たない。
したがって引っ込んだ刃が少し柄から出ていても、G3が手にしない限り切断能力は一切ない。

るる「これは......?」
クゥエル「預かっといてくれ。後で返してもらいに行くから。」
るる「うん、預かる。ちゃんと取りに来るんらお!」
クゥエル「ああ。」
るる「自分で取りに来るんらお!他の人に頼んじゃダメなんらお!」

ご主人様にお土産をねだる時よりもずっと真剣な口調で念を押す。

クゥエル「勿論だ。」

そして、使い魔達の次元航行マシン「カットラス」に乗り込むるる。

るる「じーすいーたん、絶対絶対、戻って来るんらお!!!」

ウイイイイイイイイイイイン......

カットラスが唸りをあげて発進しようとしていた。

るる「またるると、おデートするんらお!!!また思い出いっぱい作るんらお!!!!!」
クゥエル「ああ、またお出かけしようぜ!!!」

バシュウウウウウウウウウッ!!!!!

カットラスが発進していく。ワープアウトする直前までずっと、るるはガラスに張り付いてクゥエルの方を見ており、
そしてクゥエルもまたるるの飛び立っていった方を見つめていた。

クゥエル「さて、と......」
マスクを再びかぶり、拳のない右腕を構える。
G3‐XX「おおりゃっ!!!!!」
ボゴオオオオオオッ!!!!!!!

新しい右手が生えてきた。再生した手を試すように動かし、その後、例のポーズをとる。

G3‐XX「超変身!!!!!」

バチッ!!!バチバチバチッ!!!!!
全身に黒い電流が走り、あの魔神の姿が現れる。

G3‐XYZ「大邪神!!!次はてめえの番だ!!!!!」

大邪神の待つ2026次元に向かってテレポートしていった。


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