Legend of Quel

第三部(完結編) 第11話

守護天使達の家では...

G6に敗れたG3はここに運び込まれた後、戦闘生物の力を抑える特殊包帯を巻かれて眠り続けていた。
全身のアーマーを全てはずされ、顔立ちに少年のような幼さの残る黒髪の男の姿で...

あかね「こ、これが...」
みどり「G3さんの素顔なんれすね。」
みか「な、何よ...ちょっとだけかっこいいじゃない...」
もも「この人が、もも達を守ってくれてたんだ。今までずっと...」
たまみ「.........」

G3の意外な素顔に見入る守護天使たち。
たまみは無言のまま悲しそうな表情をしていた。側にはご主人様やRynexの姿もある。

Rynex「......皆さん、ごめんなさい。私たちの力が及ばずるるちゃんが...」
ゆき「いいえ、あなた方はよく戦ってくれました。今回だけでなく、今まで何度も。本当に感謝していますよ。」
Rynex「ゆきさん...」
G3の方を見やるRynex。
Rynex「クゥエル様、ごめんなさい...私があんなものを作ったために、
あなたにはこんなにも辛い思いをさせてしまった......」

全身を震わせて大粒の涙を浮かべるRynex。G3が素顔だったためか、思わずG3を本名で呼んでしまった。

なな「Rynex......」
つばさ「クゥ...エル...?」
くるみ「聞いた事ない名前なの。」
あゆみ「それがG3さんの...」
Rynex「......はい。G3様の本当の名はクゥエル。トノサマガエルのクゥエルです。」
ご主人様「トノサマガエル...?じゃあ、G3さんって...!」
Rynex「そうです。G3様...いいえ、トノサマガエルのクゥエルは元守護天使です。」
みか「何ですって!?」
みどり「ええええっ!!!そ、そ、そうだったんれすかあああっ!!!」

あまりにも意外な事実に衝撃を隠せない一同。

つばさ「何かもう、わけわからないよ。一体どうなってるの?」
たまみ「そういえばたまみ達、G3さんの事、何も知らなかったんですね...」
あゆみ「Rynexさん、説明していただけますね。」
Rynex「...わかりました。」

Rynexの口から語られたクゥエルの過去、そしてG3‐XX誕生のいきさつは、守護天使達に更なる衝撃を与えた。
クゥエルがるるを救うために命を捧げた事、自分の主人を持たず自力で転生を果たした事、
戦闘生物となって暴走した事、Rynexと出会い仮面ライダーとなった事など......

らん「そ、そんな...そんな事があったなんて......ううっ...うっ...」

あまりの事に泣き崩れるらん。

ご主人様「それじゃあ、あの時...るるを飼う事になったあの日、G3さんは......」
もも「本当に...本当に、優しい人だったんだ...」
たまみ「G3さん、そこまでるるちゃんの事を......G3さんって、ロリコンじゃなかったんだね。
たまみよりも年下で...なのに、そんな重荷を背負って......」
なな「なな、G3って、どこから来たのかわからない無敵のヒーローだと思ってた......」
ゆき「でも、あの方も私達と同じ、思い悩む心を持った1人の守護天使だった...」

驚きとともにクゥエルの過去に涙する一同。特にたまみはかなり辛そうな表情だ。

Rynex「たまみちゃん...?」
あかね「それはそうと、るるをさらっていった奴の目的は一体何なの?」
くるみ「それに、G3さんが負けた相手って誰なの~?」

と、そこへまばゆい光とともに人影が現れた。

なな「あ、あれは...?」
みか「メガミ様!」
あゆみ「やはり相当の大事みたいですわね。」
メガミ様「久しぶり、と挨拶している場合ではないですね。これまでの状況は知っています。ここからは私が説明しましょう。」

緊張した様子で聞きに入る一同。

メガミ様は、これまでの事を語った。G3と同等の能力を持った強敵G6‐オメガの事、
ワーバインがG6により重傷を負った事、G6の統率の下で復讐鬼達が大邪神ガイナギロスを復活させようとしている事、
大邪神が戦闘生物のなれの果てである事、その復活のためにるるが生贄にされようとしている事......

くるみ「そんなのダメなの!!!るるちゃん、死んじゃうのおおおっ!!!!!」
あかね「でも、そのG6‐オメガにはG3さんでもかなわなかったんでしょ?」
Rynex「G3様が敗れたのは、恐怖心により超変身ができなかったからです。
超変身できれば能力はほぼ互角。勝てない相手ではありません。」
あゆみ「それにしても、最近復讐鬼が現れなかったのはそういう事だったのですわね。」
みどり「戦闘生物って事は、その大邪神さんもG3さんみたいに改造されたんれすか?」
メガミ様「いいえ。大邪神の場合、クゥエルとは違って素体は特になく純粋な生物兵器としての色彩が強かったようです。
太古の神々によって生み出された後、危険視されて何らかの方法で2026次元に封印されました。
G6‐オメガはおそらく、邪悪なる者が大邪神の製法を応用して作りあげたバイオロイドのようなものと思われます。
ただ、G6の場合、知性と独自の人格を持つ事からおそらく素体を用いていると考えられますが。」

あまりにもスケールの大きい話に思わず黙って聞き入る一同。

Rynex「また、素体を使ったより制御しやすい戦闘生物の製法が大邪神やバイオロイドとは別に生み出されました。
最近になって、それが『アクシオン』と呼ばれていた事が神様達との調査でわかったのですが、
これは素体の持つ適性によって能力が大きく左右され、適性があまりにも行き過ぎると
大邪神以上に危険な存在となりかねない代物らしいです。そのため製造すらされないまま闇に葬られたのですが、
それを今の神々と私が発見・解析してクゥエル様を......」
つばさ「それで、クゥエルさんの適性があんまり凄すぎたから、その力を抑えるためにG3‐XXになったんだね。」
Rynex「はい。クゥエル様の適性は、私達の想像をはるかに超えていました。
もしその真の力を発揮すれば、全宇宙はおろか、全ての次元がひとたまりもなく滅びるでしょう。」
みか「...う、嘘...でしょ......?」

あまりの衝撃に顔を引きつらせるみか。

みどり「ひええええ......
み、み、みどり...な、何だかとんでもない事を聞いちゃったみたいれすぅぅぅ......」

恐怖で青ざめるみどり。他の大半の者は、あまりにとんでもない話にぐうの音も出ないようだ。

あゆみ「でも、太古の神々はどうしてそのようなものを作ったのでしょう?」
メガミ様「それはわかりません。ですが、とにかく今は大邪神を阻止するためにG3‐XXの力が必要である事は確かです。」

らん「ところで、ワーバインさんは大丈夫なんでしょうか...」
Rynex「完治には時間がかかりますが、命に別状はありませんよ。それでは、私はちょっと用事を済ませてきますので...」
Rynexはそう言って一旦家から出て行った。

G6‐オメガから受けたダメージは回復が異常に遅いのだ。だが、ワーバインの傷が数日経っても癒えないのに対し、
G3の場合はわずか30分ほどで完治していた。あとは意識の回復を待つだけなのだが......


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